「金閣寺」

 

新作舞台『金閣寺』、非常に充実した雰囲気のなか終幕しました。


ただ見世物としての舞台であるだけでなく、一つの思索の時間を演出することをコンセプトに創出した舞台。


一見とても難しそうに思えるテーマですが、今日を生きるすべての人の心に問いかけうるものと信じて創作を進めました。


既製の振付や音楽に頼らずに、バレエダンサーと日本舞踊の踊り手それぞれが自ら作舞した舞踊。古典を温めながら、そこに新しい所作が加えられていて、さらに共演のなかに和洋の対比も浮き彫りになってくる、とても見応えのあるものでした。


音楽は、「半即興」という新しい枠組みの中で奏者を楽譜の縛りから解放し、絶対的な音の再生ではなく、各奏者の主体性と自由な裁量を通して臨場感のある音表現を創るという斬新な試みでしたが、意欲的な奏者たちのおかげで予想以上の表現の幅に至ることができました。


またその両者が、あたかも能のように舞台上で直接対峙してストーリーを共作するというのも今までにない形で、演者、奏者自自身もその呼応を楽しみながら公演することができました。 (総合演出 / 作曲   山下 光鶴)